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2008年03月31日号 No.1649

とんでもない
後期高齢者医療制度

後期高齢者医療制度は、七五歳以上が入る医療保険制度です。現在加入している公的医療保険から、強制的に移されます(生活保護受給者をのぞく)。障害者や寝たきりの人、人工透析患者は六五歳以上から対象になります。

なぜわざわざ新しい制度をつくるのか。見えてくるのは、(1)高齢者から確実により多くの保険料をとる、(2)高齢者の医療を制限して、入院や長期療養を抑える、(3)保険料が払えなければ、保険証も奪うという高齢者に過酷な中身です。

保険料を年金から天引き

第一に、保険料です。厚生労働省の試算では年金収入二一〇万円のひとり暮らしで、月平均六二〇〇円(年七万四四〇〇円)。年収が多ければもっと高くなります。保険料が生活を破壊しかねません。

さらに月一万五〇〇〇円以上の年金受給者は保険料が天引きされます。保険料が月六二〇〇円なら、介護保険料とあわせて一万円以上引かれることに。

これまで保険料負担がなかった扶養家族にも新たに保険料が。世帯ごとだった保険料徴収が個人ごとへと変わるからです。後期高齢者一三〇〇万人のうち、扶養家族は二〇〇万人です。年金受給者(年収七九万円)で子ども(年収三九〇万円、政府管掌健康保険)の扶養家族だと、月平均三一〇〇円(最初の二年間は一五〇〇円)という試算です。

夫・七六歳で健康保険本人、妻は七四歳で扶養家族のケースではどうなるか。夫は後期高齢者医療制度に加入。すると七五歳未満の妻は国保に強制加入となり、新たに保険料が徴収されます。

今回の制度導入にあわせ、さらにとんでもないことが。六五歳〜七四歳の年金生活者も国保料が年金から天引きに。七〇歳〜七四歳の患者負担が一割から二割、「現役並み所得者」は三割になります。

「包括払い」で医療を制限

第二に、厚労省は診療報酬の「包括払い」で高齢者の医療を差別し、制限することを検討しています。診療報酬とは病院や診療所などでおこなう医療に対する医療保険上の支払い額。「何をやっても同じ額」というのが包括払いで、病院や診療所から見れば検査、処置などをやればやるほど赤字になります。

深刻なのは長期の治療が必要な慢性疾患です。高齢者に多く、「包括払い」になれば病院から敬遠されかねません。とくに入院はいまでも病院経営は赤字。高齢患者の入院はますます困難になります。

二〇〇五年、「終末期の適切な評価」とは何かと聞かれて厚労省の医療課長は「家で死ねっていうこと」「病院に連れてくるな」と語っています。入院患者を追い出せば、医療費は安くすむはずだという考えが現れています。

将来は人工透析や、糖尿病のインシュリン注射などが制限される可能性も。

保険証の取り上げも

第三に、国保では七〇歳以上には禁止されてきた資格証明書が発行されるようになります。一年間保険料を滞納すれば、資格書や短期保険証に。しかし、わずかな年金から保険料を払うことはたいへんです。国民年金は四〇年間おさめ続けた人でも月六万六〇〇〇円にしかなりません。受給額は平均で四万円台。年金保険料の支払いが受給資格が発生する二五年間に及ばず無年金、という人も六〇万人から七〇万人もいるといわれています。

資格証明書を発行されると、保険が効かなくなり、いったん全額自費で払う必要があります。病気で医療機関にかかる→医療費がかかって保険料が払えない→資格書を出されてさらに医療が遠のくという悪循環を生みます。

昨年一二月三日放送のNHKスペシャル「もう医者にかかれない」でも、厚労省の国保を担当する課長補佐が「(国保制度は)負担した人にだけ給付がある」「一銭も払えない人は対象にしていない」などと豪語しましたが、これと同じことが高齢者に持ち込まれようとしています。

さらに国保組合・健保組合に健診が義務づけられる一方、自治体の基本健診はなくなり、七五歳以上は健診からはずされる予定です。後期高齢者には健診はムダだという考えです。

後期高齢者医療制度資料

後期高齢者医療制度はこんな制度

(1)保険料を75歳以上全員から徴収
75歳以上は1300万人。
扶養家族(200万人)からも保険料をとる
(2)診療報酬「包括払い」で医療を抑制
医療をすればするほど病院・診療所が赤字になるしくみを導入
(3)滞納者の保険証取り上げも義務化
保険証の取り上げは70歳以上には禁止されていたのに

図1 高齢単身者の7割が年間収入200万円以下

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図2 消費税は法人減税の穴埋めに

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図3 OECD加盟国・医療費のGDP比(2004年、速報値、一部2003年含む)

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図4 企業の公的負担、日本は少ない(対GDP比)

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